泉大津港で1度死んでいます

現地の同僚のクルマに乗せて貰った。


この国で走る車は7割、いや8-9割が中古の日本車だ。


個人用の車、かつて法人が使っていた軽トラ、果てはバスまで、様々なタイプの日本車が走っている。


法人の車に至っては、日本語の法人名や電話番号の表示がボディにそのまま残った状態で走っていて


そのような日本で現役で走っていたときの名残を見つけると、背景に様々なドラマがあったのじゃないかとワクワクする。


車に対して思い入れの深い人は多く、いろんな場所へ一緒に行く相棒と捉えてる人もいる。擬人化して名前をつける人さえいる。それを購入してから、手放すまでには絶対に何らかのドラマがあったはずだ。

そんなドラマを想像するのは楽しい。


話を戻すが、同僚の車もまた日本車であった。

中に入ってナビを見ると、特定の場所から全く動いていない。

ナビが変わらず指し続けていたのはここだ。


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泉大津港。


同僚は言う。

「おそらく、ここがこの車が日本で最後にナビを受信した場所だよ。」

この車はここで船に乗り、GPSの捕捉範囲を超えたこの国まではるばるやってきたのだ。


なんだかとてもドラマチックじゃないか。


日本で新車として購入され、持ち主を様々な場所へ連れていった車が、ある日第一の人生を終え、中古市場を経由して今は別の国で第二の人生を始め、また活躍している。ただ、ナビだけは日本での最後の地を表示し続けている。


「薄暗い船室さ。

知らない人が僕を運転して、綺麗に並べられたんだ。

同じ部屋に何台も車があった。

エンジンを切られて、長い間眠りについていたんだけど、起きたらこの国にいたんだ。

暑い国さ。

新しいご主人は、優しい人でよかったけど、慣れてない道だから不安だよ。

不安といえば、長いこと車検も受けてないから、それも不安になるよ。

日本のご主人はもうたくさん走ったから、もう寿命だって言ったんだ。

僕はまだ走れると思ったけど、最初のご主人の言葉がまだ記憶に残ってるんだ。

どこかで壊れちゃったら、今度こそおしまいかもしれないね。

ナビが動かないし、日本の時間を出したままだけど、新しいご主人は特に気にしないでいてくれてる。

優しい人だよ。だから、応えられるように最後まで頑張って走ろうと思うんだ。」


妄想してたらすげー健気なやつになりました。

同僚、大事にしてやれよ!


やめさせてもらうわ。